近年のサイバー攻撃は情報または金銭の詐取を目的として組織的に実行されています。頻度と巧妙さが増し、患者情報など機微な情報をあつかう医療機関にとって大きな脅威となっています。NCGMに対しても様々な形でのサイバー攻撃がおこなわれています。
米国では、医療分野のISAC(Information Sharing and Analysis Center)が設立され活動しています。日本国内においても、電力や鉄道、金融など医療以外の分野でISACが活動していますが、医療分野の公的役割を持つISACはまだ存在しません。
組織的サイバー攻撃に対しては、単独施設ではなく、攻撃情報の共有など、医療機関横断的に組織的に対処することが有効と考えています。本研究では複数の医療機関と連携して、サイバー攻撃情報を集約し、情報の共有やマルウェア検体分析を行うための仕組みを構築しました。各医療機関での情報セキュリティ教育に生かすことで、技術的対応に加えて組織全体の情報セキュリティマネージメントの向上の可能性を検討しました。研究成果は、さまざまな形で公表し、日本の医療機関全体のセキュリティマネージメントの向上を図ります。